体幹とは文字どおり、体の幹になる部分です。
背骨(脊椎)を中心に前と後、右と左に身体は構成されていますが、前には肺や心臓、内臓などがあり、特に重要な心臓と肺を保護する役目で肋骨があります。
そして、内臓を納めるために、骨盤が下から支えて、腹筋群で内臓を守っています。
大きく体幹とは肋骨から骨盤までの円柱のような体の部分です。
人が生きていく上で最も重要なものがこの体幹に詰まっています。
この全てが活性化されていることが、一番良いと考えます。
脚は骨盤とつながり、腕は肩甲骨とつながっていて、背骨(脊椎)の上には頭があります。
歩くにも足から頭まで全身が良いバランスで動いています。
こうして全身がつながっていくと思うと、本当にすごい構造です。
普段、何気なく手を動かしますが、手を動かせるのは体幹が安定することが必要で、体幹が安定するには、下半身の安定が必要になります。
少しでも足や骨盤、体幹、肩などがズレてアンバランスな状態で体を動かしているとしたら
その積み重ねでどこかに痛みが出たり、硬くなったり、怪我を起こすことが予想できます。
【体幹を鍛えるとは】
〈呼吸〉
生きていく上で必要な、酸素や栄養素を全身に行き渡らせるために肺や心臓が肋骨内にあります。その中でも自分でコントロールできるのが呼吸です。
過去の記事「呼吸で体は変わる」もぜひご覧ください。
1日に約2万回行う呼吸の一つ一つが良いものになるだけで、どれだけ体にとって良いことか。
そう思うと、呼吸の大切さがわかります。
普段の呼吸に意識を向ける時間を、数分でも良いのでつくってみてください。
呼吸は1回吸うと肋骨が広がり、横隔膜が下がることでお腹が膨らみます。
吐くことで横隔膜は上がり、肋間は小さくなります。
呼吸は吐くことから始まり、吐くことが大事だと言われています。
普段の呼吸でお腹が膨らむほど呼吸(横隔膜式呼吸)をしている人がどれだけいるでしょうか。
胸まわりだけが動く呼吸になっている方が多いのではないかと思います。
肋骨が広がるにもお腹が膨らむにも、関わる筋肉が柔らかくないと、スムーズに動いてくれません。
肋骨やお腹周りが硬いとそれだけで、呼吸がしずらくなっています。
それに猫背などの姿勢になると、より胸が広がらない状態になります。
〈腹筋の役割〉
腹筋は本来、シックスパックにして人に見せるものではありません。
腹部の筋(腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋、腹横筋)は内臓のために働く筋肉です。
内臓全体を覆って保護すると同時に、腹圧を高めてトイレ時の排尿、排便を促したり出産時にも腹筋は働きます。
そして姿勢保持にも大きく関わり、腹筋群のバランスが崩れると姿勢も崩れています。
動きの面では、下半身から上半身への力の伝達をスムーズにします。
歩く際に体幹を通して全身がうまく動くことはとても重要で、
歩く際の筋バランスが崩れているとジョギングをする際はその崩れた歩き方のままジョギングになるので、
よりどこかの関節や筋肉に負担がかかることになります。
健康のために歩いたり、ジョギングしているのに足や膝が痛くなったということになってしまいます。
それではせっかく体を動かしているのに、やめてしまう原因になります。
〈体幹トレーニング〉
内臓の働きや姿勢保持、力の伝達などに大きく関わる腹筋群ですが、どうやってトレーニングしていけば良いのでしょうか。
人はロボットのように動くことはないので、より柔らかくしなやかな動きができます。
ということは腹筋群も柔らかく力を使えることが重要になり、固めたり、カチコチにすることではないということがわかります。
円柱のようにある程度ふくらみがあり、適度な腹圧がかかったまま自在に動かせる。
腹圧が適度にかかっていると、腹筋がコルセットの役割になり、家事や掃除、荷物の上げ下ろしなどの日常動作にも活用でき腰痛予防にもなります。
日常生活から、スポーツ競技まであらゆる動作に必要なことだと思います。
単純な腹筋運動や固めるトレーニングではなく、動きの中で体幹に負荷がかかることが大事だと考えています。
下半身から体幹へ、体幹から上半身への力をどう上手に伝えるか、その練習が必要になり、その中で負荷が増えてくれば、使える体幹力が身につくと考えています。